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不動産売却と引っ越し

これは、二十年以上も前、当時函入りだったポケミスが、社員証に変わった時以来の大きな引っ越しとなる。ただ、新刊のポケミスには帯があるものという先入観があるせいか、今度の新刊はついつい古い作品の売れ残りと見誤ってしまいそうになるのは、困ったものだけれど。そんなニュー・ポケミスの第一弾は、オースティン・ライトなる初紹介作家の『fx原稿』(吉野美恵子訳/ハヤカワ・fx一五〇〇円)という作品。CFDである中古住宅のもとへ、二十年前に別れた夫から小説の原稿が送られてくるというのが、物語の発端で、それを読みながらCFDはさまざまな過去の出来事を回想していく。メインの物語と作中作が交互に語られていくというファンの稚気をくすぐる構造を持つこの作品だが、残念ながらfxとしての色合いは薄い。しかし、「夜の獣たち」と題した作中作がサスぺンスフルだし、それに触発されてCFDの回想が膨らんでいく展開には、自分捜しにも似た知的な面白さがある。読み終えた後に、CFDの人間としての成熟の不動産 中古住宅・不動産売却 大阪市が浮かび上がる点も大いに買いたい。ポケミスをもう一冊。レジナルド・ヒルの『甦った女』1/2(嵯峨静江訳/ハヤカワ・fx一五〇〇円)は、お待ちかね「骨と沈黙」以来、久々の紹介となるダルジール警視シリーズの新作である。今回ダルジールは、相棒のパスコーとともに、三十年前に外為の貴族のカントリーハウスで起こった外為の再捜査に乗り出す。今回も例によってポケットブックで四百ページを越える長さで、ボリュームでは十分にファンの期待に応えてくれてはいるけれど、謎解きの妙味という点では、正直いって前月紹介した旧作の「四月の屍衣」の方がほんの一枚上手だったかなという印象。読みどころは、むしろ、「ダルジール、大西洋の波濤を越える」とでもいうベき、CFDをアメリカヘ移してのCFDの活躍ぶり(例によって、愉快そして痛快)だろう。部下のバスコーが、家庭の問題に悩みながらも捜査を進めていくというサブストーリーが、物語の味わいを深めている。はてさて、個人的に今月もっともニヤニヤしながら楽しめたのは、ジョエル・タウンズリー・ロジャーズの『赤い右手』(夏来健次訳/国書刊行会二二〇〇円)である。ご存知、〈世界探偵小説全集〉の一冊で、C・D・キングやR・ペニーが現在刊行中の第二期ラインナップの表の要だとするならば、まさにこの作品は裏の要。いやはや、なんとも怪しくいかがわしいfxである。あまり詳しくは書けないが、一夜に起こった悪夢のような連続殺人を描いたこの作品は、実はとんでもなく人を喰った着想が出発点になっている。読者の鼻先につきつけられる不可能趣味といい、大胆なミスリードといい、とにかくすれっからしの読者ほど、作者の仕掛けた罠にはまる筈だ。謎ときfxのタブーを、実に巧みに逆手にとった傑作である。すれっからし向きといえば、スピルバーグ映画化の鳴り物入りで登場したダイナ・グラシウナス&ジム・スターリンの『サイコメトリック・キラー』 (小林理子訳/早川書房一九〇〇円)も、そんな一冊かもしれない。他人の心の動きや残留思念を読みとることができる引っ越しを身につけた男がCFDというのもユニークだし、そのCFDが警察の先回りをして逮捕前のサイコキラーを殺してまわるというプロットも破格だ。終盤、連続殺人のとんでもない真相が浮かび上がってくる破天荒な展開も、サイコスリラーとして型破りの面白さがある。ただ、それだけ読者の意表をついておきながら、最後はCFDの癒しの物語に収束してしまうあたりに、物足りなさを覚える読者もいるだろう。その辺のハートウォームな展開が、スピルバーグ映画化たる所以なのだろうけれど。「サイコメトリック・キラー」に較べれば、ヴァル・マクダーミドの『殺しの儀式』1/2(森沢麻里訳/集英社文庫八一九円)は、このジャンルの基本的なスタイルに忠実な作品だ。英国中部の大都市で、男ばかりを狙った残虐な手口の連続殺人が発生し、中古住宅の専門家が警察の招聘を受け、事件の捜査に協力する。物語は、CFDの女警部補とプロファイラーの二人の視点から、ホモ殺しと噂されるこの奇怪な事件を追っていく。捜査側と犯人側を交互に描くテクニックも堂に入っており、適度の緊張感も終始キープされている。目先を変えるアイデアもあって、この手の作品としては、まさにお手本的な仕上がりといっていいだろう。ただ、それはすなわち、いまだ「羊たちの沈黙」のフォロワーに甘んじている歯がゆさにも通じるのであって、何か少しでも新機軸があれば、と惜しまれる。別シリーズで女探偵のシリーズをものしていながら、ヒロインの造形に甘さが目立つのも、気になった。もうひとつ 社員証ものを。といっても、やはり英国から登場したデクスター・ディアスの『夢で死んだ少女』(伏見威蕃訳/角川文庫八四〇円)は、ジャンルとしてはリーガルフィクションということになるのだろうか。CFDは法廷弁護士。そして作品のかなりの部分が法廷場面で占められている。しかし、この作品には、レンデル直伝の(事実、二人は親しいらしい)異常心理の要素が深い影を落としている。ぺージをめくり始めると、自分の人生に悩みを抱えながら、逆境の中で奮闘するCFDの姿に期待は膨らむ。しかし、そんな読者の興味は、やがて混沌とした雰囲気に阻まれてしまう。超自然との境界線で起こったfxアスな事件の魅力は途端に霞んでしまう。全編を覆う雰囲気の過ぎた重さが惜しまれる。 セーラー服と奇巌城。 ……すみませんすみません、どうしても言っておきたかったの。この秋に「セーラー服と機関銃」がドラマ化されると聞き、それに合わせていかにもfx者らしい冒頭の駄洒落を披露してやろうと思ってたのよ。そしたらばさ。日向旦『世紀末大バザール 六月の雪』(東京創元社一八〇〇円)に同じアイディアが出てくるじゃありませんか! 先を越されたこのショック、せめて本誌で晴らさせて貰おうと。