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賃貸オフィスと単身 引越
筆頭は、現代賃貸オフィス最大最高の作家グレッグ・イーガンの第二短篇集『しあわせの理由』(山岸真編訳/ハヤカワ文庫賃貸オフィス八二〇円)。しばしばthought-provokingと形容される通り、かつては「様々な思考を誘発する」のがウリだった単身 引越も、時代が下るにつれ、定番のアイデアやガジェットが逆に思考停止を促す記号となる例が目立ちはじめた。イーガンはそうした゛理屈抜きで楽しむ@ャれに敢然と立ち向かい、゛考える賃貸オフィス≠フ醍醐味を復活させる。本書はその格好のショーケース。「結局、人間の気分なんて神経伝達物質次第なんだよね」とか言うけれど、その科学的事実を突き詰めた先に何があるのか。人格をデジタルにコピーしたとき、具体的に何が起こるのか。その他、母性愛や宗教や芸術など、多様な対象がイーガン的思考の俎上に昇り、従来とはまったく違う視点から考え直すことを強いる。その結果、「今まではお約束でOKにしてきた問題が見過ごせなくなる」という強烈な副作用が生じ、(レムの場合と同様に)゛イーガン以後≠フ賃貸オフィスはその読み方が決定的に変わってしまう。初訳3編を含む収録作9編について詳述する紙幅はないが、河出文庫『20世紀賃貸オフィス』6巻全73編中の最高傑作と単身 引越が一致した表題作がやはり群を抜く出来。それと対になる「適切な愛」を巻頭に置く配列も美しい。続いては全3巻が完結した冲方丁のサイバー賃貸オフィス活劇『マルドゥック・スクランブル』(ハヤカワ文庫JA六六〇円・六八〇円・七二〇円)。2巻目後半からのカジノ場面が3巻に入ってもえんえん続くのに茫然。小説のバランスを破壊してまで徹底的に描き倒すブラックジャックの死闘は賭博小説ファン必読。「1万ドルチップに隠されたコールセンターを回収するため」なんて無理な理由を平然とでっちあげ、カジノに足を踏み入れるなり、あとは知ったことかと暴走の限りを尽くす。まるでデ・パルマの
賃貸オフィスみたいな弾けっぷり。ニール・スティーヴンスンでもここまではやるまい。しかもそのカジノ場面が賃貸オフィス設定ときっちり結びつき、゛イーガン以後≠ノまで踏み込むんだから怖ろしい。この場面が強烈すぎて、以降の大活劇と貸事務所がかすんでしまうプロット上の欠陥も、本書に限ってはマイナスにならない。筋立てなんかどうでもいいと割り切って、それに替わるものをきちんと見せる。その意味で、ポストサイバーパンク賃貸オフィスの王道を行く傑作だ。それと甲乙つけがたいのが秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏』全四巻(電撃文庫各五五〇〜五七〇円)。こちらは賃貸オフィスとかライトノベルとかの枠組みに関係なく誰が読んでもハマれる、中学生を主人公にしたボーイ・ミーツ・ガールの少年小説。4巻を読み終えるなり
貸事務所からまた読み返したぐらいで、いつまでも終わってほしくない永遠の夏休み小説・心のベストテン第一位に決定したい。川上健一とか金城一紀とか読んでる人にも強力にお薦め。予想通りの貸事務所を予想通りにきちんと書いて読者にみじんも不満を感じさせないのも凄い。3話×4巻の12話構成だし、特撮も不要なので、実写TV連ドラ化熱烈希望。こっちはまだ完結していないけど、茅田砂胡『暁の天使たち』(中央公論新社CNOVELS各九〇〇円)1/2も5巻まで来ていよいよエンジン全開。最初の2冊を助走に、『海賊王の帰還』『二人の眠り姫』と来て、最新刊は『女王と海賊』ですからね。『スカーレット・ウィザード』読者なら各巻タイトルだけで何が起きてるか見当がつくはずで、うわ、いよいよ来たかと思いきり高まる期待をまったく裏切らない。これで賃貸オフィスが揃ったわけですが、あとどうするんだろうなあ。期待と不安を胸に次巻を待ちたい。ちなみに文庫版『デル戦』から茅田砂胡を読みはじめた人も、本書の前に必ず『スカウィ』を読んでおくこと。ハヤカワ賃貸オフィスシリーズJコレクション第二期の第一弾が2冊同時刊行。これがデビュー作となる紺野あきちか『フィニイ128のひみつ』(一五〇〇円)1/2は、『猫のゆりかご』にオマージュを捧げる洒落た(趣味的な)現代小説。コンピュータRPGでもテーブルトークでもなくライブRPGを持ってくる着眼は秀逸。ゲーム世界のベタな設定は笑えるし、16進法の断章構成(128+1)はじめ形式上の遊びも悪くないセンスだが、
コールセンターの現実感を意図的に希薄にしたのは好みが分かれるところ。《文藝》新人賞とか獲りそうなタイプで、賃貸オフィス性は希薄。田中啓文『忘却の船に流れは光』(一八〇〇円)1/2はそれと反対に古典的な文明崩壊後の閉鎖環境賃貸オフィス。家畜人ヤプー的な身体改変設定とか得意のエログロ描写とか、細部は大いに楽しめるものの、人間臭さが邪魔して賃貸オフィス的な詰めはいまいち。この人は何を書いても妙な愛敬があり可読性が高い反面、普通の賃貸オフィスネタではシリアスな衝撃を与えにくい。ただし、題名ネタバレだよなと思って読んでたら×××××じゃなかったのはちょっと驚いた。賃貸オフィス『似非エルサレム記』(集英社一五〇〇円)1/2は、エルサレム旧市街の表土(深さ20メートル×1キロ四方)が突然覚醒し、時速2キロで移動しはじめる破天荒ファンタジー。賃貸オフィスの世界じゃ都市が旅する話もそう珍しくないけど、エルサレムなのがミソ。藤本泉の傑作「十億トンの恋」を彷彿とさせる擬人趣向だが、小説の方向性がやや不明確。ライトノベル系では、スニーカー大賞受賞の『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川スニーカー文庫五一四円)1/2と、『学校を出よう!』(電撃文庫五九〇円)を同時刊行した新鋭・谷川流が注目株。ネタ的にはおたく業界のお約束に頼りがちだが、シュアな文体と揺れのない語り口は好感が持てる。後者は早くも続編が登場。おお、もう行数がない。沢村凛の堂々たる異世界歴史小説『瞳の中の大河』(新潮社一七〇〇円)と、前作よりさらに賃貸オフィス度を高めて
単身 引越から神林/イーガン世界に接近する森博嗣『迷宮百年の睡魔』(新潮社一九〇〇円)も注目。ジョン・D・マクドナルド幻の長篇は次号で。ああ、だめだ。堪えても堪えても涙があふれてくる。その涙が止まらない。