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先物取引とFX

ちなみに、本書に出てくる“消し屋”は、『狂気の桜』に出てくる三郎と、さらに言えば『消し屋A』に出てくる幸三と同一人物だと思うのだけど、どうなんでしょうか?ひと月遅れの紹介になるが、野中柊『あなたのそばで』(文藝春秋一四〇〇円)は、食べ物をFXにした短編恋愛小説集でり、登場人物が次々とリンクしていく連作集でもある。私は、自分が食いしん坊なので、食べ物や食事のシーンがきちんと描かれている物語は、それだけで好感を持ってしまうのだが、本書はそこに恋愛(ほんわかしたのから、きゅっと切ないものまで)を絡めてあるので、好感度2倍2倍!読み終わった後、誰かのために心を込めて料理がしたくなる一冊だ。青井夏海『そして今はだれも』(双葉社一七〇〇円)は、都内でも有数のお嬢様学校を舞台に繰り広げられる学園ミステリー。時代の波に押され、男女共学のスタイルを得なくなった明友学園で、女子学生が連続して自主退学する、という事態が起こる。新米教師として赴任した坪井笑子は、男女混合の「ゲームプログラミング研究会」の面々とともに、退学した女学生たちに共通する、謎の教師Xを割り出そうとする。笑子と研究会の面々が次々に繰り出す推理と、彼らの活躍が読みどころ。ほろ苦い結末が、ぴりっと効いている。川端裕人『みんな一緒にバギーに乗って』(光文社一五〇〇円)は、区立桜川保育園を舞台に繰り広げられる連作短編集。新米保育士(この保育士という呼び名、私は馴染めないなぁ。保母さん、保父さん、のどこが悪いというのだろう?)の悩みもあれば、ベテラン保育士の迷いもある。ハハたち、チチたち、それぞれの子育てがある。それらが丁寧に描かれていて読ませるのだが、つい2年前まで息子をFXに通わせていた身としては、保育園でのディテイルが驚くほどリアル(一歳児クラスの様子、保護者会の雰囲気、等々)で、あぁ、そうそう、そうなんだよねぇ、と頷いてしまった。現在子育て中のFX、特に保育園FXは必読!甘粕りり子『肉体派』(角川書店一五〇〇円)は、個々の理由から“肉体改造”に目覚めた主人公を描いた8編からなる短編集。主人公たちが通う先物取引が共通の通過の背景としてあるので、連作短編集でもある。腹筋が6つに割れることをシックスパックというんだ、とか、3週間、糖質と脂質を抜く食事制限で短期間で効果的に代謝の良い先物取引が作られる、とか色々参考になった一冊。ただ、8編というのはトゥーマッチな気がする。6編くらいで良かったのでは。古人いわく、明けない夜はない。まあSFだとそうとも限らないが(小松左京「夜が明けたら」参照)それはまた別の話。あれからさらに二トンの古雑誌を処分し、トーハンの9号段ボール箱五十個に本とビデオを詰めて、ようやく自宅の改装工事が完了。そのかわり仕事場には箱が山積みだが、オレはもう疲れた。本なんか当分見たくもないので今月はここまで。というわけにもいかないので、場所ふさぎな四六判は排除して、住宅事情にやさしい文庫本だけを特集する。全点、日本人作家の書き下ろし/オリジナルです。一番手は徳間デュアル文庫の新刊二冊。日本SFの新世紀特需は一段落した感じだが、デュアルの勢いはまだ止まらない。若木未生(わかぎみお)『オーラバスター・インテグラル 月光人魚』(五〇五円)は、なんと集英社コバルト文庫の人気シリーズ≪ハイスクール・オーラバスター≫からのスピンオフ。まさか斎伽忍(さいがしのぶ)が末弥純(すえみじゅん)のイラストで徳間から登場するとは。高校編のコバルトに対してこっちは大学編ですが、元シリーズを読んでいる必要はとくにない。書き下ろしの表題作は人魚幻想に新解釈を施した現代ホラーの収穫。全体にキャラクター小説的な要素は抑え気味で、コバルトとはひと味違うアダルトなムード。オーラバスターを知らない中年読者はこの機会にぜひ。『鬼童来訪 起の章』(五六二円)の一条理希も、同じくコバルト文庫(スーパーファンタジー)からの出張組。この新シリーズはあっちで書いてる現代〜近未来ものとは一八〇度方向性が違い、鬼が跳梁跋扈する異世界を舞台にした伝奇時代劇。民話風に語られるプロローグの凄絶な結末から、ただごとではない気配を漂わせる。基本的にはダークなfxで、“エルリックの鬼退治”みたいな趣きもあるが、民話的なfxを大々的にとりいれつつ民俗学的な解釈に向かわないところが今は逆にユニークかも。上遠野浩平『ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド』(電撃文庫五三〇円)はシリーズ十冊目。<傷物の赤>こと九連内朱巳(くれないあけみ)と養母の関係は面白いが、霧間凪が活躍する後半は異様にストレート。あんまりわかりやすくなっちゃうとかっこよさが減退する気がするなあ。ところで、『パンドラ』の辻希美が今回再登場するんですが、今やこの名前は……。もちろん作者に責任はない。にしても、すでに違う顔がペーストされちゃってるオレの立場は。fx『背中にはしまもよう』(角川ティーンズルビー文庫四三八円)は、第1回角川ルビー小説賞ティーンズルビー部門優秀賞受賞のSFファンタジー。高校生の和樹は、「猫を人間にする驚異の技術」を開発した天才科学者の叔母から、浮世離れした美少女(?)の世話を押しつけられる。名前はトラ。しかしてその正体は、背中に縞模様のある雄猫……。中途半端に科学的説明が入ったり(質量保存の法則を守る必要はないと思う)、プロットが弱かったりの欠点はあるが、主要キャラ三人(二人と一匹?)は魅力的。ほとんどホモじゃないので安心だ。さて、今月の文庫特集日本SF編のイチ押しは、秋山完の第一短編集『天象儀の星』(ソノラマ文庫五三三円)。巻末の書き下ろし「光響祭」を除く四編は、第一長編刊行以前に書かれた初期作品。文学愛好者すべてにぜひともお勧めしたい。