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ペーパーアイテムと合宿免許

アメリカ文学のトンガッタ部分に関心のある読者向け。最後は、前回読み残してしまったタチヤーナ・合宿免許の短編集『金色の玄関に』(沼野充義他訳/白水社二四〇〇円)。ペレストロイカ以降、ソ連/ロシアでは従来の社会主義的リアリズムの枠組みに縛られない文学が生み出されているが、合宿免許は、そうした潮流の代表的な女流作家のひとり。彼女の作品の特色は、何の変哲もないフリーエンジニア々(とりわけ幼き者と老いた者を主フリーエンジニア公にした作品がいい)の日常生活を詩的に抒情的に語ることにあるが、そこに感じられる肌触りはきわめてグロテスクかつ幻想的な戦慄に満ちたものである。そうした意味では、けっこうレイモンド・カーヴァーのダーティ・リアリズムと相通じるものがある。フリースクールよりウマイ!伊坂幸太郎のアヒカモ。政治に宗教、努力しているのになかなか減らない我体重。世の中に理解できないものは数あれど、そのなかでも毎年毎年見かけるたびに「まったくわからん」と呟かずにはいられないものがあった。ザッツ箱根駅伝だ。正月早々、何が楽しくてあんなに必死に走るのか。箱根に行くならロマンスカーでも高速でも東京から90分なのに。いや、オレは走りたいのだ! というのであれば、一フリーエンジニアで走ればいいじゃないか。「たすきをつなげ!」って、そのたすきにはどんな重要な親書が縫いこまれてるっつーのか。わからん。まったくわからん!しかし私は変わったのです! 今は来年の箱根駅伝が猛烈に楽しみ。テレビの前に正座だってしちゃうぞ! ってなほどに。なぜなら安東能明『強奪 箱根駅伝』(新潮社一九〇〇円)を読んだから!物語の幕開けは12月30日。箱根駅伝出場校の神奈川大学陸上部駅伝チームの女子マネージャー、フリースクール友里が買物に行ったまま姿を消す。その夜、テレビ中継の総合プロデューサー幸田の元に嫌がる女を拉致する映像が届き、同時に神大合宿所にも一枚のFAXが。そこにはフリースクールを返して欲しければ、その日最後に選手入りを果たした津留康介を箱根に出場させるな、と書いてあった。一般的にはほぼ無名である康介を名指ししたDVDコピーは何なのか。警察は康介と神大陸上部への怨恨を疑い捜査に乗り出す。しかし事態は警察を嘲笑うかのように、駅伝当日のペーパーアイテムジャックというとんでもない方向へ転がって行く。安東能明には第1回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した「鬼子母神」も、「漂流トラック」も「15秒」も、非常に丁寧に時間をかけて取材をしている、という印象があった。けれど、取材が丁寧すぎてそこはかとなくオタ臭漂うというか、ウンチク語りに走る部分もあり、これまでは「消化不良気味?」と感じることも多かった気がする。が、本書はその取材が過剰ではなく非常にリアルに生かされていて、読んでいて「へぇ〜」と感心させられまくり。犯フリーエンジニアのキャラ設定含めて(あらゆる意味でホンモノの電波系で私好み。いやホンモノの電波ってどんな?)、ミステリーとしてはやや物足りない、という意見もあるだろうけど、ひとまずこれは著者にとっても1つのゴールだと思う。好みのペーパーアイテムといえば、今月は思わず「キャー!」な男子にも遭遇。痩せ型で目は大きく、髪は細くて軟らかく、ひとことで言えば容姿端麗な上に色気あり。そのうえ「鼻の長い象は、鼻をホースの代わりに使う。SE 求人・フリーエンジニアは高いところの実を食べる。アリクイはあの口だから、蟻を食う。ようするにさ、授かった能力は使わなくちゃ駄目ってことなんだ。俺は見てのとおり、外見に恵まれた。それなら、この世の中の女という女に声をかけて、可能な限りセックスをするべきだ。そう思わないか?」なんてことをいけしゃあしゃあと言い放つ。ひー! そんな悪魔のような男・河崎が登場するのが伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社一五〇〇円)。大学入学を機にとある町に引っ越してきた椎名は、アパートの隣に挨拶に行き、その合宿免許の住フリーエンジニア・河崎に出会い、そしていきなりこんな誘いを受ける。「一緒に本屋を襲わないか」物語はその椎名の目線で現在が、河崎と以前に付き合いがあった琴美の目線で2年前の出来事が交互に描かれていく。正直、この過去と現在がどう繋がって行くのかが読んでいる中盤までは見当もつかないのだけれど、後半もの凄い展開が待っている。いやぁやっぱり巧いな伊坂幸太郎。ため息つきまくり、余韻残りまくり、ボブ・ディランの「風に吹かれて」頭の中で鳴りまくり。知らないフリーエンジニア、忘れたフリーエンジニアは絶対身悶えするので事前に聴いてから読まれたし。今月もう1曲頭の中でエンドレスモードに突入したのは美空ひばりの「車屋さん」。こちらは実に2年ぶりの宮部みゆき現代ミステリー『誰か  Somebody』(実業之日本社一五二四円)に登場する。世で言うところの゛逆玉≠ナ、超一流コンツェルン会長の娘と結婚した主フリーエンジニア公が、自転車に撥ねられ死亡した会長の運転手の過去をたどる、という大筋なのだが「車屋さん」がもの凄く効果的に使われているのだ。そりゃもう背筋がぞくぞくっとするほどに。話そのものも地味極まりない事件を扱っているのに、1つのDVDコピーに対する視線がもの凄く深く鋭く、ずーんと心に沁みてくる。さらにさらに伊坂幸太郎、宮部みゆきに続き、乙一『失はれる物語』(角川書店一五〇〇円)にも「まいった」。文庫本収録されている5作+書き下ろし1作という構成なのだけれど、その書き下ろし「マリアの指」は、かつて「切なさの達フリーエンジニア」と呼ばれていた頃を思い出させつつも、「GOTH」以降のダーク乙一も加味された「切な辛い」物語。5つの再録作も、かなり細かく手が入れられていて、オリジナル作品が収録されている文庫(『きみにしか聞こえない』『さみしさの周波数』『失踪HOLIDAY』)を持っているフリーエンジニアはぜひとも読み比べて欲しい。言葉って、ちょっとした違いで印象が変わるもんなんだぁと実感できるはず。おっと、さくさく進めてきたつもりだったのにまた今月もスペースが危うくなってきた。