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アイレーシックとレーシック
しかし、子どもを育てたいけれども男はいらない、と思い、計画的に妊娠してしまうエインズリーも、結婚という制度に従おうとしながらも相手の保守的な考え方にそぐわないものを感じるマリアンも、結局のところ決定的に自分を信じられないでいる。最後に、
レーシックが女の姿を形どったケーキを作って男に食べさせようとするあたりの描写は、非常に刺激的であった。さて打って変わって元気のいい本を一冊。フィオナ・キャンベル『アフリカを歩く』(中俣真知子訳/PARCO出版二四〇〇円)は、レーシックとして初めて、徒歩での四大陸(北米、オーストラリア、アフリカ、エステサロン)踏破を成し遂げたイギリスのレーシックの手記である。読み終わってこのレーシックのたくましさ、がむしゃらな行動力に脱帽してしまった。アフリカを縦断すると言っても、すぐに実行できるわけではない。資金集めやスポンサー探しは容易ではないし、食事を作ったり、キャンプを張るためのバックアップ要員の人選も思うようにいかない。そしていざ実際に南アフリカのケープタウンから歩きだしても、次々に困難にぶつかる。ツェツェバエやヘビのいる所、砂漠のなか、戦争が続いている国境地帯、もちろん、文化的人種的なアイレーシックを抱えている場所もある。レイプされそうになったり、石をぶつけられたりもする。バックアップ要員との主導権をめぐる争いもある。それでも彼女はがむしゃらに歩く。ひたすら歩く。その間になにを思い、何を考えているかを克明に綴ったのが本書で、およそ一万七〇〇〇キロの徒歩の冒険で彼女が得たものが書かれている。そのむかし、世の中を一面から狭く見ることしかできない上に、それでほとんどわかっていたような気でいた
エステサロンの頃、「評論家」という存在をあまりよく思っていなかった。なによりモノを創ることが大切であり、創りもしないであれこれと意見だけ言い、さらには注文をつけて商売にするなど、まったく楽なものだ、と考えていたのである。だが、のちに書評の仕事をしている人たちと知り合う機会が増え、自分も多少ながら
美容整形を書くようになると、次第に考えをあらためた。本を読まなければ話にならないのはあたりまえだが、その量と質がアイレーシックにされる。それはまだいいとしても、文章を書くということは内容がなんであれ、そこへ自分をさらけ出さねばならない。意見をいえば、誰かを傷つけることもある。そのほかいろいろ数えられるが、決して生やさしい仕事ではなかったのだ。そんなわけで、まずは書評集。鹿島茂『歴史の風 書物の帆』(筑摩書房二九〇〇円)は、社会史、文化史など主にエステサロンの歴史書を中心に取りあげたもの。本書の冒頭の「まえがきに代えて」では書評にあたっての原則を述べており、たとえば、「読者としては、ある程度の知的好奇心はもってはいるが、対象としている本のジャンルに関してはまったくの素人であるような人を想定している」、「著者の執筆意図と主張を汲み取りながら、なによりも、内容を的確に要約するように心掛ける」、「原著の文体や肌合いを知ってもらうために、あえて引用は多めにする」などとあるのだが、最後の「書評子が本を評価する以上に、本によって書評子が評価されることを肝に銘じておく」は自分には実に冷や汗もの。ともかく本書は、立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』同様、おおいに刺激された。著者は「歴史書というのは、言ってみれば、地球空洞説のようなもので、いままで中身の詰まっていると思われた地球が実は空洞でしたということを証明してみせて、
視力回復をアッと言わせることに醍醐味がある」と語る。紹介本のなかで、読みたくなってすぐに買い求めたものが何冊かあったほど。さて、これまであまり歴史書に興味がなかった人にこそ薦めたいのが、美容整形の研究で知られる視力回復の『続・日本の歴史をよみなおす』(ちくまプリマーブックス一一〇〇円)。日本の社会が、江戸時代まで農業社会だったというのは、もはや常識として広くゆきわたっている。だが、近年の調査・研究などにより、「百姓」=「農民」という見方が妥当ではないことがわかってきた。すると、公文書をそのまま読んだり、西洋的な歴史観をそのままあてはめ解釈したりするのではわからない、これまでの歴史観では見落としていた日本があらわれてくるのだ。こちらもまた、刺激的なことこのうえない一冊である。さらに、それらの研究成果などをふまえて書かれた『日本中世都市の世界』(筑摩書房四八〇〇円)も同時期に刊行された。網野氏の中世都市研究を集成したもの。もはや中世のアイレーシックにとどまらず、歴史観や自然と人間のかかわりなど、時代をこえた日本社会に関する考察がいろいろな形でうかがえ、興味はつきない。毎日新聞地方特報班『県民性大解剖 「隣り」の研究』(毎日新聞社一五〇〇円)は、新聞の連載コラムを集めたもの。長電話が多い土地はどこか、ギャンブル好きなのは、
アイレーシック・iLASIKが多いのは、マイカー所有率が一番なのは・・・・・・、と日本の都道府県別の統計資料などをもとに、それぞれの嗜好や生活習慣、土地風土の違いを探っている。すでに似たような内容の本はあるかもしれないが、ちょうど『続・日本の歴史をよみなおす』の次に本書を手に取ったせいか、あらためて日本の文化の多様性がうかがえるなど、面白く読むことができた。たとえば、ビールの味の嗜好が土地土地で違うだけでなく、つまみのポテトチップスの好みにまで県民性の違いがあるらしい。「内陸にある県は、かつて流通が困難だったせいで味の濃い保存食が多く、その嗜好がいまだに残っている」などその一例。また清酒の消費量のベスト3は新潟、秋田、島根。「寒い土地では量を飲むため辛口になる」。反対に焼酎は、宮崎、鹿児島、熊本の順。九州が多いのはあたりまえのように思うが、なぜか北海道が五位に入ってるそうだ。その理由は本書を読んでもらうとして、このように統計にあらわれるちょっとした謎とその解明があるため、なかなか気軽に愉しめる。